IC-705 を受信改造して鉄道無線や消防署活系を聞く

無線機の改造は自己責任でお願いします。

概要

近所で何らかの事件・事故が起こったときは、鉄道無線や消防署活系を聞くことでより詳しい状況がわかるときがある。しかし、1Fの室内に置かれた無線機ではなかなか電波が入らない。寝室に設置された IC-705 は常時屋外のアンテナに接続されており、無線機用リモートコントロールソフトウェア RS-BA1 を使えば書斎からでも受信音を確認できるが、初期状態では鉄道無線・特定小電力無線・消防署活系などを受信することができない。そこでネットの記事を参考にして筐体を開けて内部のチップ部品を取り外したところ、上記全てを受信できるようになった。

背景

自宅で仕事をしていると、日中消防車や救急車の音を聞くことが多い。相模原市twitter で火災・救助情報を広報している ので、そちらでもおおよそどこで何かが起こったというのは把握できるが、消防署活系を聞く(傍受する)ことでより詳細な状況がわかる。私が所持する無線機のうち、TH-D74 と VX-3 には広帯域受信機能があり、消防署活系を傍受することもできるし、鉄道無線を傍受することもできる(鉄道無線については「空線キャンセラ」も搭載)。問題はアンテナで、1Fの屋内に置いてある、ハンディ機用ホイップアンテナを付けた無線機ではよほどのことがない限り明瞭には受信できない。

書斎のほかに、2F寝室には常時屋外のアンテナに接続されている無線機 IC-705 があり、リモートコントロールソフトウェア RS-BA1 を使えば書斎からでも IC-705 の受信音を確認できるのだが、残念ながら初期状態の IC-705 は鉄道無線(147MHz周辺)、特定小電力無線(400MHz台に複数周波数帯)、消防署活系(466MHz帯)などを受信することができない。ネット検索してみたら、非公式ながら内部のチップ部品を2つ外すことで受信改造ができることを知ったので、挑戦することにした。

チップ部品のはんだ付け・取り外し練習

練習用基板

これまで普通サイズの部品は数え切れないくらいはんだ付けしてきたけど、実はチップ部品のはんだ付けは今までしたことがなかった。いきなり IC-705 のチップ部品を取り外しにかかって失敗したら嫌なので、まずは Amazon でやっすい練習用基板 と、チップ部品用の細い糸はんだ・フラックスを購入した。そして、以下のサイトを参考にして練習してみた。

この練習では温調半田ごてを左に、ふつうの半田ごてを右に持ってやってみたところ、取り付け・取り外しともまぁまぁうまくやることができた*1

改造

いよいよ本番。以下の情報を参考にした。

まず殻割り。どうやら防水処理されているらしく、外装のネジは非常に固い*2。フラットケーブルを外しながら内部へと進んでいく。

殻割り進行中

途中で注意点。1カ所突起が出ている箇所がある。バネが使われているらしく、押し込んだら突起は凹んで、基板を取り外すことができた。

赤丸部分の突起に注意

そして、取り外すチップはこちら。

赤丸で示した2つのチップを取り外す

我が家最細のこて(温調こて + HOZAN の35Wこて)を二刀流してなんとかとれた。外した SMD はおそらく1005M (0402) サイズで、長辺1mm 短辺0.5mm くらい。100円玉と比べた写真を撮ってみたが、もっと小さいものと比較すべきだったな、と思うくらい小さい。

取り外しチップダイオードと100円玉の大きさ比較

結果

下記の通り、 VHF/UHF ともに受信領域が広がった。鉄道無線については空線キャンセラがないので常用はできないと思うが、特小や消防署活系については活用できそうだ。

改造後の受信画面

*1:取り付けに関しては、片方ずつやったほうがわずかに綺麗になる気がするので、急いでいないのであれば片方ずつやるかなと思った。

*2:上面のネジを緩めるときに少しなめてしまったので、できれば取り替えたい。

第三送信機 VX-3 増設!

概要

愛用する第一送信機 TH-D74 は比類なき高機能を誇る V/U デュアルハンディ機だが、大きく重くて気軽に持ち運べないし、高機能であるがゆえにバッテリーが持たない。更に、イヤホンアンテナ非対応なので、電車内でのFM放送受信に不安がある。低燃費とイヤホンアンテナ非対応ゆえに、外出先で災害に遭遇したときに備えて別にラジオ単機を持ち歩く…となるとさらに重量が増えてしまう。そこで、小型軽量で目立たず、燃費がよくてイヤホンアンテナにも対応、というラジオ代わりに使うにはぴったりな VX-3 を導入した。届いた機体は想像以上に小型で、「無線運用はするつもりはないけど念のため持ち歩きたいな」というときに最適な無線機だと感じた。

導入までの経緯

2020年10月に、防災用途を兼ねる形でケンウッド TH-D74 を購入して約25年ぶりにアマチュア無線局を再開局し、その後2021年1月に HF/V/U オールモードポータブル無線機の IC-705 を第二送信機として追加購入した。これで HF から 430MHz 帯までのオールモードを、停電時でもバッテリー駆動で電波を出せるようになった。

TH-D74 は機能面では本当に優れた無線機で、以下のような長所を保っている。

  • 受信専用機ではないのに広帯域・多モードで受信できる
  • GPS 内蔵かつ ARPS 対応: どこにいるかすぐわかるし、どこにいるかを発信できる
  • ハンディ無線機としての基本機能: 2波同時受信、5W出力、漢字使用可能なメモリ
  • 最新技術対応: D-STAR、Bluetooth ヘッドセット対応

列挙すると、いかにも日本の電機メーカーが作りそうな、いわゆる「全部入り機」であることがわかる。 一方、高機能であるがゆえに、

  • 大きく重い(軽量バッテリでも315g)
  • 燃費が悪い

という欠点がある。大きすぎて、気軽に小型カバンやポケットに入れて持ち歩くことができない。Bluetooth 対応なので本体をカバンの奥底に入れておくことも不可能ではないものの、受信でも交信でも実際にはチラチラと本体を見たり操作する機会はあるので、特に「アマチュア無線の運用をするつもりはないけど一応持っていこう」みたいな使い方には向いていない。

更に 別の記事 で書いたように、この機種はイヤホンアンテナに対応しておらず、電車内でFM放送を受信しようとすると、エレメントが相当に長い SRH789 のようなアンテナが必要になる。本当に災害が発生したときなら堂々と SRH789 をフルサイズ (80cm) まで伸ばせばいいだろうけど、そんなヤツがふだんの電車内にいたら不審者確定である。そんなこともあって、もう1台小さいのがあるといいなぁ…と考えるようになった。

VX-3 の導入

そこで VX-3 の導入を検討した。 もともと小型・省エネであることから目を付けていたが、 ラジオ受信のテスト結果 により、

  • FMラジオ帯はイヤホンアンテナ対応なので、ラジオ (AM/FM) を聞く分には目立つアンテナが不要

というのも大きなアドバンテージであることに気付いたので、CQオーム のセールのときに、ついに買ってしまった。お得意様価格なので実際の購入価格は載せないが、一見さん価格でも23000円である。TH-D74(7万円くらい)に比べても安い。そして機能面でもなかなかに使える。

基本性能

V/U デュアルバンドFMハンディ機である。2波同時待ち受けはできないが、ラジオにVUサブ待ち受け、VUにVUサブ待ち受け、という形で擬似的に2波待ち受けすることができる。

送信出力は430MHz帯で1W。自分か相手のロケーションがよければ十分に電波でやりとりできる。先日の東京UHFコンテストのときもガンガン入るし交信もできた。

辛いことを挙げるとするならば、ボタンが少なくて機能を覚えるのが大変なことと、メモリ登録時に使えるのが変な記号も含めた英数字7文字までということ。ボタンの数は仕方ないにしても、メモリ登録はもう少し長いとラジオ放送をメモリしやすいのだが…と思う(「NHK-FM横浜」とか「RFラジオ日本」とかを縮めづらい)。

長所1: とにかく小さくて軽い

現行アマチュア無線ハンディ機 機能・性能比較一覧表 - tomodigi.com - を重量で並べ替えればわかるとおり、アマチュア無線機としては圧倒的に軽い。何なら手持ちの iPhone SE 第2世代 (148g) より軽い。さすがにラジオ専用機の ICF-T46 (69g) には負けるが、TH-D74 の315gの半分以下という軽さ。 TH-D74 と比べてみると、もはや同じ目的の機械とは思えないレベルで大きさが違う。

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VX-3, TH-D74, iPhone SE (第2世代) で大きさ比較

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成人男性としては小さめの手で持ったときの収まりを比較

長所2: 電池が汎用品かつ長持ち

使っている電池は富士フイルムのコンパクトデジカメと同じ NP-60 互換なので入手性が高くて安い(ロワのバッテリでも2個1320円 とかで入手可能)。3.7V 1100mAh なので大した容量はないが、カタログスペックでラジオの連続受信20時間とある。仕様からいろいろ計算すると、TH-D74, VX-3, ICF-T46 のラジオ受信時間は以下のようになる。

機種 TH-D74 VX-3 ICF-T46
受信時消費電流 (mA) 260 50 (ラジオ受信時) (未公表)
バッテリ容量 8140mWh (7.4V x 1100mAh) 4070mWh (3.7V x 1100mAh) (電池による)
受信継続時間 4.4 (計算値) 20 46 (AM/アルカリ電池)

(TH-D74 は小型バッテリ KNB-74L の値を表示)

ICF-T46 のスペックを見ると、スピーカーで46時間なのがイヤホンだと170時間になるので、単純に当てはめれば VX-3 もイヤホンで聴けば約74時間保つ、ということになる。さすがにそこまでは聴けないとしても、モバイルバッテリーから多少給電してやれば、自宅に帰るまで3日かかったとしても十分に使えると思う。

広帯域受信機能

AM放送(バーアンテナ内蔵)、FM放送(イヤホンアンテナ対応)に加えて 1.8-999.9MHz の広帯域受信が可能なので、AM/FM放送以外にも、一般的な鉄道無線(近隣だと東急田園都市線とか)・消防署活波・特定省電力無線など、災害時に役立ちそうな無線を傍受することができる。TH-D74 のように誘導無線(東京メトロ半蔵門線など)や SSB/CW まで受信できるということはないが、まぁ十分な受信性能があると思う。

ところでAM放送の受信というと、バーアンテナの感度が悪い、という記事をちらほら見る(たとえば こちら)。一方で TAKMI TV さんの VX-3紹介動画 では十分な性能だと言っていて、私も後者の意見のほうに同感である。VX-3は2007年発売の超ロングセラー機なので、もしかしたら途中でAM放送受信周りの設計が変更されているのかもしれない。

現在の使い方

前述の通り、「今日はアマチュア無線を運用するつもりはない」というときに、イヤホンと一緒に持ち歩いている。軽くて小さいので、ボディバッグのような小さい鞄にも十分に入るし、子守り時に使うランニング用バックパックの肩ベルト部分にもラクラク入る。一方で、東京へ出かけるときは誘導無線受信のために、本気で運用するときは5W出力のために、最初から受信をすることがわかっているときは Bluetooth ヘッドセットを使うために、という理由で TH-D74 と ICF-T46 のセットを持ち出すようにしている。

10月初頭から時々アマチュア無線運用したりラジオ受信に使っているこの VX-3、購入直後にバッテリをフル充電にしたあとは、なんと12月に入るまで充電する必要もなく使い続けることができた。この燃費の良さはさすがとしか言いようがない。頼れるヤツだ。

外出中(屋外・電車内)にラジオは聴けるのか

この記事はtwitter で書いた内容 を整理したものです。 (タイトルの「てにをは」が間違ってたので修正)

概要

外出中に災害に遭遇し、情報収集の必要性が出てきたらどうするか? 得られる情報量の多さで言えばスマートフォンが一番有効だけど、端末の電力・基地局の電力・基地局とインターネットの間の回線・携帯電話システムそのもの(位置登録サーバなど)がすべて生きていないと情報を得ることができないし、いざというときのために端末の電力はあまり無駄にしたくない。となるとやはりシステムが単純でバッテリーも長持ちするAM(中波)放送やFM放送での情報収集という手段は残しておきたい。そこで、アマチュア無線機とラジオ専用機を使って外出中(屋外・電車内)にどれくらいラジオ放送波を受信できるのかをテストしてみたところ、屋外ではAMが有利・電車内ではFMのみ利用可能あることがわかった。また、FMを受信する場合は十分な性能を持ったアンテナが必要であることがわかった。

なお、以下の受信状況において、「電車内」とは、小田急江ノ島線の電車内を指す。台地上を南北に走る路線で、西側は相模川・引地川の河岸段丘で障害物が少なく、東側は横浜市内の山地(円海山・高尾山など)に遮られて比較的障害物が多いので、大山山頂から飛んでくるFM横浜や、その円海山から飛んでくるNHK-FM横浜は強く、デコボコした地形のせいで地表波が届きづらいAM(中波)放送は全般にあまり信号が強くない、という環境である。

受信状況 (1) アマチュア無線機 TH-D74

  • 屋外
    • AM: バーアンテナ内蔵のため受信良好
    • FM: SRH805s のような極端な短縮アンテナでなければ、FM補完放送を含めて受信良好
  • 電車内
    • AM: まったく入感しない
    • FM: SRH805s ではまったく入感しない。ロッドアンテナ SRH789に取り替えたところ、ロケーションがよければ NHKFM横浜のような強力な局は受信できた

受信状況 (2) 携帯型ラジオ ICF-T46

  • 屋外: AM/FM ともに受信良好
  • 電車内
    • AM: まったく入感しない
    • FM: ロケーションに関わらず受信良好。どうやらイヤホンアンテナはかなりの威力を発揮する模様

総評

3つの驚きがあった。

  • 電車内でAMぜんぜん聞こえない
  • FMラジオではイヤホンアンテナがすごい威力
  • SRH805s がぜんぜんFMラジオ受信できない

実は電車(金属遮へい物)の中でラジオを聞くのは初めてだったので、こんなにAMが入らないというのは知らなかった。実質的にFMしか聞こえない、と言ってもいいと思う。また、FM放送に関しては、屋外だと純正ホイップアンテナでも十分に受信可能のに、電車内ではかなり厳しかった。逆にイヤホンアンテナの威力にびっくりした。FM放送の周波数 (76MHz-108MHz) は波長3-4m くらいあるので、エレメントが長いことは重要らしい。それに関連して、エレメントを極限まで短縮してる SRH805s は FM放送の受信が非常に苦手で、屋外でも使い物にならないことにも気がついた。アマチュア無線バンドや、特小などのUHF帯受信用だと思っておいた方がよさそうだ。

結論としては、災害時にラジオを聞きたいと思ったら、ラジオ専用機でもアマチュア無線機でも、イヤホンアンテナに対応した機体が必要だと言える。

地震で無線機などが吹き飛ばないためのツール作成

概要

先月(2021年10月)、東京で震度5強を観測する地震があった。自分の住んでいる街はそれほど揺れなかったが、首都直下地震が起こったときの準備ができているのかというと、自信を持って Yes とは言いがたい。最近、防災アドバイザーの高荷智也さん (YouTube, Voicy, twitter) のビデオなどを見て、まず家の中を安全にすることが大切だと気付いた。そこでこの記事では「吹っ飛ぶと自身に危害が及んだり通信手段を失う」というリスクがある無線機に対して行った対処を紹介する。具体的には、書斎に常置しているハンディ無線機にはアクリル板を組み合わせたケースを作成してクランプでとめ、寝室枕元のポータブル無線機は取り付け専用板を作成してクランプでとめた。寝室では、そのついでに iPhone とめがねも保護できるような構造とした。

1. 書斎のハンディ機 TH-D74 を固定する

課題と解決方法の概要

私の書斎にはハンディ無線機 TH-D74 が置いてあって、いつでも市の消防署活系無線やAM/FMラジオを受信できるようになっている。しかし、もし地震が発生したら間違いなくこの無線機は吹っ飛んで、場合によっては故障し、せっかくの通信手段をひとつ失うことになるかもしれない。そこで専用のケースを自作することにした。今までは工作といえば木を使っていたけど、表示の見やすさと机上の美しさも欲しいので、練習も兼ねて初めてアクリル板を使うことにした。

トライアル1: アクリル板を自分で切ったらめちゃくちゃ大変だった

まずは 3mm のアクリル板を買ってきて切断する…んだけど、アクリルカッターでの切断が大変だった。そもそも、何回も何回も何回もキーコーキーコーと傷つけるのが大変。押さえている左腕が疲れる。その上、切断時に「パキッ」っとやろうとしたら、1枚折り損ね。更に折った後に切断面をヤスリがけするのも大変。金ヤスリを使っていてもなかなか平滑にならない。

そして、なんとかできあがったパーツを、これも初体験のアクリル接着剤で接着するんだけど、プラスチックテープでの仮止めが甘かったらしく、ほんの少しだけずれてしまった。その状態で、なんとか組み上げたケースに無線機を入れる…も、入らない。どうやら TH-D74の仕様 の「突起物」にはボタン類の1mm前後の「突起」も含まれているらしく、これと接着ズレが相まって入らなくなってしまったようだ。

もはや直したり新しい板を切り出す元気は残って折らず、修正版を一から作ることにした。

トライアル2: アクリル板の加工を依頼したら簡単だった

修正版では、以前に Magic Keyboard を尊師スタイルにするためにアクリル加工を依頼したことがあるアクリルショップはざいや さんに加工を依頼することにした。3mmは厚すぎると感じたので2mmのアクリル板を指定し、6枚依頼して送料込みで970円…安いよ! これは切断・平滑化の労力を大きく上回るよ! そして接着に関しても前回の反省を踏まえて精度高くやってみた。

完成形

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(左)クランプ固定(右)実際に運用しているところ

背面と底面の間に開けた2mmの隙間にクランプを通して固定し、無線機を入れる。電源ボタンがある左側部分はスリットになっているので、入れたまま電源の投入が可能。電源ボタンだけでなく、PTT以外のボタンは入れたままで操作でき、アクリル板なので画面表示もそのまま見える。よほどの上下動がない限り、吹き飛ぶことはないだろう。

ちなみに、完成版(トライアル2)・失敗版(トライアル1)・紙で作ったモックアップを並べると以下のようになる。トライアル1が痛々しい…。

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左から、完成版(トライアル2)・失敗版(トライアル1)・紙で作ったモックアップ

2. 枕元のポータブル無線機 IC-705 を固定する

課題と解決方法の概要

私の寝室の枕元には、ポータブル無線機の IC-705 が置いてある。アンテナが設置してあるバルコニーから同軸ケーブルを引き込めるのがここしかなく、かつ毎回毎回無線機を出し入れするのが面倒なので、ここに置きっぱなしにするようになった。IC-705 はポータブル機なのでオールモードトランシーバーとしては軽い部類だが、それでも仕様 によると重量 1.1 kg であり、これが寝ている最中に顔面直撃したら大けがは免れない。しかも同じテーブルには就寝時に iPhone とめがねも置かれるので、万一無線機がめがねを破壊した場合には致命的なダメージを蒙ることになる。

飛んでいきそうなものは固定するのがセオリーなのだが、それなりのお値段がするサイドテーブルに直接これらの機器を固定するのはちょっと気が引けるので、木材を加工した固定板を作って物品はそちらに固定し、固定板とサイドテーブルをクランプで固定する、という作戦をとることにした。

固定板の作成

サイドテーブルと積載する物品の大きさを測定し、固定板を作成する。無線機はカメラねじ(3/4インチねじ)を備えたZ雲台に載っているので、Amazon でねじを買って、雲台を裏からねじで固定できるようにする。この穴はステップアップドリルで開けたのだが、毎回狙ったところからずれてしまう…自分が下手なのか、ステップアップドリルとはこういうものなのか。まぁとりあえず現物合わせで済ませることにする。6mmちょっとしかない板ではねじが取り付けられないので、その上にさらに木板を1枚と、強度を上げるためにアルミ板を載せてエポキシ接着剤で固定する。ここから更に木ネジで固定しようと思っていたものの、エポキシ接着剤が想像以上に強力だったので、木ネジは省略した。

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(左)合板を加工し、無線機取り付け用の穴を作成(右)無線機取り付け台座の厚みと強度を確保するため、木板とアルミ板をエポキシ接着剤で固定

iPhone とめがねケース

いろいろ記録を見る限り、どんな地震でも縦方向(鉛直方向)の揺れが重力加速度 9.8m/s2 を超えた例は見当たらなかったが、横滑りして飛び出す可能性はあるかなと思ったので、それに対策することにした。ダイソーで薄いトレーを買ってきて、Lightening ケーブルが通るようにノコギリで1カ所切り取り、切った箇所の上に余っていた塩ビ板をエポキシ接着剤でくっつけて穴状に加工した。更にトレー上部にも塩ビ板を取り付けて、iPhone をここに滑り込ませた後でケーブルを接続すればこのトレーから飛びなさないようなしくみにした。最後にこのトレーを上記の固定板に強力両面テープで取り付けた。

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(左)上部はエポキシ接着剤で付けたらとれてしまったのでテープで固定(右)ケーブル通し部分

めがねケースはヨドバシで小さくてちゃんとフタがしまるやつを購入し、やはり強力両面テープで取り付け。Android 機はもはやただの時計でここから動くことはないので、やはりスタンドごと強力両面テープで取り付け。

完成形

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無線機はネジどめ、他は強力両面テープで取り付けて、その板は2箇所(右と奥)のクランプで固定した

できあがりはこちら。就寝時は iPhone を置いてから Lighening ケーブルを差し込むことで、iPhone が動かなくなる。無線運用時はボックスティッシュをちょっとどければスペースができる。他の小物(リモコンとかハンドクリームとか)は固定すると使い勝手が悪くなるので固定せず、地震発生時は吹き飛ぶの上等、ということにした。

COVID−19ワクチンモデルナ筋注 接種メモ (2回目)

今回は接種直後の体温変動をメインに記録。 (前回の記録→ COVID−19ワクチンモデルナ筋注 接種メモ (1回目) - tmishina's blog

体温変動 (day 0 to day 2)

接種当日夜から発熱し始めたため、ロキソニン1Tを服用して就寝。翌朝はいったん下がったが、再度上がり始めた。これにはロキソニン1Tを服用したものの体温上昇は止まらず、午前中はほぼずっと寝て過ごした。これ以降は何度か moderate に発熱したので、タイレノールアセトアミノフェン300mg)を1T or 2T 服用して熱を抑止した。結果的に、活動できないほどひどい熱は接種翌日の半日だった。

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接種当日から接種2日後までの体温変動

グラフは Home | RAWGraphs で作成した。時系列グラフが綺麗に書けて便利だった。かつて同様に激しく発熱する治療を受けたときは、シェルスクリプトgnuplot を制御して EPS として書き出していたが、もはやそこまで頑張る必要もなくなった、素晴らしい。

モデルナアーム (day 0 to day 4)

前回は10日目に出現したが、今回は翌日から出現して4日目夜には消退した。また10日後くらいに出現するのだろうか?

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モデルナアーム(左から接種当日/day1/day3/day5)

COVID−19ワクチンモデルナ筋注 接種メモ (1回目)

2021-07-08 更新終了。

(特別編) モデルナアームの変化の様子

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モデルナアーム、左から 10日目/11日目/12日目(12日目はビラノア服用の影響ある可能性あり)

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13/14/15日目(14/15日目はアレグラ服用の影響ある可能性あり)

2021-07-04 (X+12 days)

  • モデルナアーム、今日はかゆみはないが、治ってもいない(ビラノアは大して効いてなさそう)←って書いたけど写真見ると引いてるなー。ビラノアとデルモベートのどっちが効いているのかは不明(おそらくデルモベート)
  • 体温は異常がないため、基本的に1回目接種の記録はここまで(モデルナアームの変化を除く)

2021-07-03 (X+11 days)

  • 1150 BT36.0(ホント?)
  • モデルナアームは少しかゆみが出てきたが、まだ我慢の範囲内なので様子見
  • 1250 かゆみあり、モデルナアームにデルモベートクリーム約0.3FTU塗布
  • 1310 かゆみ寛解
  • 2150 汗疱予防を企図してビラノア1T

2021-07-02 (X+10 days)

  • 0715 BT35.6、生きてるか?
  • 950 接種部位が赤みを増して少し熱っぽい、モデルナアーム発現か?
  • 1235 BT36.5

2021-06-28 (X+6 days)

  • 0730 BT35.8、この時点では左肩に痛みなし
  • 2220 BT36.4, 今日は肩痛も頭痛もなし

2021/06/27 (X+5 days)

  • 0615 BT36.2
  • 1330ごろ 左僧帽筋だか肩甲骨の根元だかの辺りが肩こりみたいに痛い(本当に肩こりかもしれない)
  • 1900ごろ 左後頭部に頭痛、2000 には感知できなくなる。左ばかり痛いのは副反応か? 肩付近の痛みは続いている
  • 2020 BT36.5

2021/0626 (X+4 days)

  • 0745 BT36.0, 左目が少し腫れている、目ヤニが多いのでハウスダスト等のアレルギーか?
  • 0810 起きた時から頭痛い、最近朝目が覚める。すぐ寝られるけど。タイレノール1T
  • 1200-1230 昼寝
  • 1430-1530 昼寝
  • 2030 BT36.5, 今日は左腕接種部位及び挙上時の痛みなし
  • 膝の表裏の汗疱がひどい(6/24にはすでにあった気がする)

2021/06/25 (X+3 days)

  • 0730 BT36.0, 頭痛なし、左腋下痛みなし、左腕挙上時の痛みはまだあり、少し睡眠不足気味。ほぼ平常運転、特に体温はふだんとかわらないため、計測頻度下げ予定
  • 左足と背中の腰あたりのあせもが多い(因果関係不明。水曜日に着ていた服の影響かもしれない)

2021/06/24 (X+2 days)

  • 0710 BT35.9, 普段通り。頭は痛いが単なる寝不足の痛みと区別つかない。
  • 1140 BT36.5, 左後頭部痛い、これはたぶん副作用。タイレノール飲むかも。まず昼寝する
  • 1209-1339 頭痛が治まらないので区別をつけるべく昼寝
  • 1355 BT36.6
  • 1900 このあたりから左腋下がちょっといたい、リンパ節の反応?
  • 1950 軽い頭痛が残っているのでタイレノール1T

2021/06/23 (X+1 day)

  • 0625 起床、BT36.4、左腕はちょっとだけ上げにくい
  • 755 BT36.3
  • 1140 BT36.6, 左腕は同様
  • 1200 ほんのり頭痛がするが、仕事のせいのか接種のせいなのか区別不能
  • 1535 BT36.5, 左腕同様、鼻の奥は、接種直後ほどは熱くない
  • 1735 タイレノール1T, 仕事の頭痛と位置がちょっと違う気がする(頭頂部前部が痛い)
  • 1740 BT36.3
  • 2215 BT36.3, なんとなく頭痛い気がするけど処置は不用そう。
  • 2220 左を下にして寝られない、痛くて。

2021/06/22 (X day)

  • 1910 非接触体温計で BT36.1
  • 1949 左腕に筋注、痛点を外れた、全く痛くない
  • 1955 待機中、BT36.7
  • 2120 ほんの少しだけ鼻の奥が熱い。ちょっとIFNの副反応に似ている
  • 2150 徒歩15分かけて帰宅
  • 2205 BT36.1 自覚症状あまり変わらず、汗かいたのでシャワー浴びることにする
  • 2315 BT36.4 寝る、少し左腕が重い感じ

unun を完全防水化して軒から出す

概要

  • unun (unbalanced-to-unbalanced) の M レセプタクル部分が(おそらく直射日光にやられて)壊れた
  • FT8 でやってみたら、unun が軒下にあると飛びが悪い
  • unun を完全防水化して軒から出せば、もっと飛ぶようになるのでは?

背景

FT8 を使って電波の飛びを見ていると、いくら 5W/10W とはいえ、全然飛んでいかない。アンテナチューナーやアンテナを作るにあたっていろいろな資料を読んでみて、給電点(UNUN)が電流の腹(最大電流)になる重要ポイントであって、これが軒下にあるのではまずいのでは、と思うようになってきた。

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軒下設置の unun。簡易防水なので、上から更に傘をかけてある

そこで、既存の unun の接続用同軸ケーブルを 3m から 5m に替え、もともと伸縮可能にしてあるのでこれを延ばしてみたら…unun が壊れた。M型レセプタクルのプラスチック部分がコネクタから抜けてしまうため、M型プラグを差し込むことができなくなってしまった。

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M型プラグを差そうとしたら、M型レセプタクルのプラスチック部分が抜けてしまった

この unun は100均で買った保存容器に入っているのだが、実は本来、こういう形の密閉はよくない。温度差で空気が膨張・収縮するので、空気穴を開けつつ防水する必要がある(アイコム製屋外型 ATU AH-4 には空気穴が開いているそうだ)。そこでこの形式での防水はやめて、アクリル板に直接同軸ケーブルと unun 本体(コア)を取り付けて、銅線が露出している部分をエポキシ接着剤で固めてから、全体をシリコーンで充填して防水することにした。

製作

まずはベースとなるアクリル板を作る。

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ベースとなるアクリル板にドリルで穴を開け、取り付け用のタイバンドを取り付ける

次に同軸ケーブル・ワイヤー向けコネクタ(防水ギボシ)・ラジアル向けコネクタ(防水ギボシ)を、コアと配線する。

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同軸ケーブルとコアを取り付けた

このあとシリコーンシーリングをかけるのだが、その中に含まれる溶剤が銅を酸化させてしまうので、特に問題はないらしいけど念のためエポキシ接着剤で銅が露出している部分を固めておく。

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エポキシ接着剤で銅が露出している部分を保護

最後にシリコーンシーリングを施工する。アクリル板なので一般的なシリコーン(セメダイン8060など)は使えない…というのをあとで知ったので、わざわざアルコール系シリコーンシーリングのセメダイン8051Nを買ってきて充填した。

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シリコーンシーリング完了

あとはこれをバルコニーに設置して完了。今度はモロに雨がかかる位置にも設置できるので、軒下から張り出す形で取り付けた。

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バルコニーに設置。今度はモロに雨がかかる位置にも設置できるので、軒下から張り出し。

実験結果

本日、実験をしてみたものの…7MHz のコンディションが大幅悪化したため、ほとんど飛ばなかった。まぁ、HF なのでそんなこともあるだろう。少なくとも、プラスチック部分が劣化して壊れる心配はなくなった。ただし、自宅前の私道に車を止め、その屋根上に RHM8b を載せて試してみたほうがよく飛んだので、やはり ATU-100 で 4m のワイヤ、というのは厳しそうである *1。今後はなるべく ATU-100 のインダクタンスを使わないですむように、Q の大きい大型の延長コイルを作って、ATU エレメントと unun の間に差し込んでみたい。

*1:ただし、冷暖房のある部屋で運用できるメリットはある。