イヤホンアンテナケーブル自作

概要

以前の記事で、「電車内で FM ラジオを聞くにはイヤホンアンテナ機能がすごい威力を発揮する」ということを書いた。

tmishina.hatenablog.com

手持ちの携帯用アマチュア無線機・ラジオのうち、ICF-T46 と VX-3 は最初からイヤホンアンテナに対応しているが、もう1台のケンウッド製アマチュア無線機 TH-D74 はイヤホンアンテナに対応していなかったので、ラジオライフの記事を参考にして自作してみた。

radiolife.com

その結果、ホイップアンテナではS1くらいしか振らない TBS ラジオ FM (90.5MHz) が S8 くらい振るようになり、メリットも大幅に改善できることを確認した。ついでにモノラル2.5φL字→ステレオ3.5φ変換ケーブルも自作して、ケンウッド機専用イヤホン以外にも汎用のイヤホンを使えるようにした。

回路図

回路は単純で、

  • 音声入力側には直列にコイルを入れて LPF とする
  • アンテナ端子側には直列にコンデンサを入れて HPF とする

というのを組み合わせたもの。ラジオライフの記事では直列に入れるコイルを 1mH としているが、千石電商で見てみてら 1mH ぴったりのインダクタは売っていなかったので、470uH を2個直列に入れて 940uH にすることで 1mH インダクタの代替とした。

回路図

一応計算してみたところ、LPF 側に流れ込む 100MHz の高周波に対するインピーダンスは 600kΩ で、HPF側に流れ込む 6kHz の可聴周波に対するインピーダンスは 100kΩ くらいになるようだ。これくらいあれば相互に影響するというのはない…と信じる。

手計算でインピーダンスを確認

工作

毎度おなじみはんだ付け。今回は新入りの goot PX-280 を投入。イチケンさんが紹介していたのでいつか買おうと思ってたんだけど、昨今のインフレを見て、「もう買っとこ!」と思って購入。

youtu.be

これ、本当にすごかった。今回は大した作業をしてないので本当の威力を発揮したわけじゃないと思うけど、単純に「加熱されるまでの時間が短い」というだけでも大助かり! ものの20-30秒くらいで350度まで上昇、すぐに作業できる。そしてはんだ付け作業の途中で被覆剥きとかをして使ってないときは自動的にスリープに入るのでこて先が痛まない! これは嬉しい。おすすめです。

という PX-280 で、コネクタ・ケーブル・インダクタ・コンデンサをはんだ付け。アンテナ側は両端 SMA 同軸ケーブルを途中で切って使い、音声入力コネクタは2.5φモノラルケーブルを切って使う、という手でコネクタ自体のはんだ付けを回避。GND は適当にスズメッキ被覆線で接続。

はんだ付け作業中

最後に露出している部分を自己融着テープで絶縁し、全体をビニルテープで巻いて完了。若干機械的強度に不安はあるものの、とりあえずはこれでよしとする。

イヤホンアンテナ対応ケーブルの完成

これで TH-D74 は専用イヤホンではなく汎用の3.5φステレオイヤホンが使えるようになった。このままでは、このイヤホンアンテナケーブルを使うとき(3.5φステレオ)と使わないとき(2.5φモノラル)とで異なるイヤホンを用意しなければいけなくなってしまうので、ついでに 2.5φモノラル→3.5φステレオ変換ケーブルも作った。

2.5φモノラル→3.5φステレオ変換ケーブル

試用

できあがったイヤホンアンテナケーブルに、そこらへんにあったイヤホンを繋いでみた。ホイップアンテナではS1くらいしか振らない TBS ラジオ FM (90.5MHz) が S8 くらい振るようになり、メリットも大幅に改善できることを確認した。今後はこのイヤホンアンテナケーブルを持ち歩いて、TH-D74 を持って電車に乗っているときになにかコトが起こったら使ってみようと思う。