概要
中波AM放送・超短波FM放送を受信できる、いわゆるふつうのラジオは、スペック上の電池持ちが非常によい(例: ICF-T46 は46時間受信可、詳しくは 別記事参照)。スペックでは太刀打ちできないアマチュア無線機だけど、ラジオの代用にしたら実際何時間くらい聞くことができるのかが気になったので調べてみた。その結果、省電力機能をフルに使った場合の連続聴取可能時間は以下のような結果で、外出時のラジオ受信手段としては十分実用的であることが判った。
- フルスペックの2バンド対応アマチュア無線ハンディ機 TH-D74でAMラジオ受信: 11時間40分
- 広帯域受信機の DJ-X100 でFMラジオ受信: 16時間52分
背景
最近、通勤時の常備無線機は DJ-X100 と TH-D74 の2台にしている。DJ-X100 はデジタル対応広帯域受信機なので、デジ簡(免許局・登録局)を含めて多様な情報源から情報を入手できるし、TH-D74 は APRS 対応なので、モバイル回線でパケット通信できなくても i-Gate 局(インターネット接続が生きている局)に繋がれば email を発信することができる。
今月号の CQ Ham Radio に「APRSでメール送信できる」と書いてあったので「マジで!?」と思って試したらホントに送信できた! 携帯電話が圏外でも、どこかのデジピーターが拾ってくれたらメール送信できるなんてすごいな。 pic.twitter.com/yBoXyTcu5e
— Takuya Mishina (@tmishina) 2023年12月22日
この組み合わせで一点だけ不安なのが電池持ち、特にラジオ受信の連続聴取可能時間。以前持ち歩いていた VX-3 は、ラジオの連続受信が20時間もできる上に予備バッテリ (NP-60) が小型・安価なので、予備バッテリ込みで40-60時間連続聴取できる、という強みがあったが、現時点での組み合わせではバッテリの持ちはだいぶ不安がある。
というわけで、アマチュア無線機・受信機を使ってラジオを受信すると、いったい何時間聴き続けられるのかを知りたくなり、試してみた。
実験環境
基本的な環境設定は以下の通り。
- 通勤時は家族がいないので、聴取時間を最長にするため、スピーカーではなくイヤホンで受信する
- あらゆる省電力機能を有効化し、あらゆる付加的機能をオフにする
- 一切触らない(バックライト消灯状態を維持する)
個別の環境は以下の通り。
DJ-X100
- AMラジオは受信できないのでFMラジオ (TBS-FM 90.5MHz) で試す
- 単に CONFIG キー長押ししてFMラジオ機能を起動するのではなく、手動でFMラジオの周波数を入力することで、ラジオ受信だけの状態にする
- GPS オフ
- バッテリーセーブ (BS) あり・なしの両方でテスト(実はテスト前はBS関係ないと思ってた)
TH-D74
実験結果
環境 | 受信時間 |
---|---|
DJ-X100 (BSなし) | 7時間53分 |
DJ-X100 (BSあり) | 16時間52分 |
TH-D74 | 11時間40分 |
考察
両方合わせると30時間弱の受信時間を得られるので、通勤途上で被災した場合のラジオとしては十分な持続時間と言える。興味深いのは、DJ-X100 では BSあり・なしで倍以上の差が付いたこと。FMラジオは連続受信だから関係ないと思ってたけど、どうやらそうでもない、という結果に。純粋にFMラジオ受信だけの状態にはならない(内部的には常に広帯域受信回路に電流が流れている)ようだ。
災害時は NHK ラジオが NHK-FM も含めて全波でニュースを流すはずなので(全中)、まずは DJ-X100 で NHK-FM を受信し、送信もできる TH-D74 は温存しておき、DJ-X100 が力尽きたり NHK-FM が全中から離脱したところで TH-D74 に切り替えるのがよいのでは、と思った。