外出中(屋外・電車内)にラジオは聴けるのか

この記事はtwitter で書いた内容 を整理したものです。 (タイトルの「てにをは」が間違ってたので修正)

概要

外出中に災害に遭遇し、情報収集の必要性が出てきたらどうするか? 得られる情報量の多さで言えばスマートフォンが一番有効だけど、端末の電力・基地局の電力・基地局とインターネットの間の回線・携帯電話システムそのもの(位置登録サーバなど)がすべて生きていないと情報を得ることができないし、いざというときのために端末の電力はあまり無駄にしたくない。となるとやはりシステムが単純でバッテリーも長持ちするAM(中波)放送やFM放送での情報収集という手段は残しておきたい。そこで、アマチュア無線機とラジオ専用機を使って外出中(屋外・電車内)にどれくらいラジオ放送波を受信できるのかをテストしてみたところ、屋外ではAMが有利・電車内ではFMのみ利用可能あることがわかった。また、FMを受信する場合は十分な性能を持ったアンテナが必要であることがわかった。

なお、以下の受信状況において、「電車内」とは、小田急江ノ島線の電車内を指す。台地上を南北に走る路線で、西側は相模川・引地川の河岸段丘で障害物が少なく、東側は横浜市内の山地(円海山・高尾山など)に遮られて比較的障害物が多いので、大山山頂から飛んでくるFM横浜や、その円海山から飛んでくるNHK-FM横浜は強く、デコボコした地形のせいで地表波が届きづらいAM(中波)放送は全般にあまり信号が強くない、という環境である。

受信状況 (1) アマチュア無線機 TH-D74

  • 屋外
    • AM: バーアンテナ内蔵のため受信良好
    • FM: SRH805s のような極端な短縮アンテナでなければ、FM補完放送を含めて受信良好
  • 電車内
    • AM: まったく入感しない
    • FM: SRH805s ではまったく入感しない。ロッドアンテナ SRH789に取り替えたところ、ロケーションがよければ NHKFM横浜のような強力な局は受信できた

受信状況 (2) 携帯型ラジオ ICF-T46

  • 屋外: AM/FM ともに受信良好
  • 電車内
    • AM: まったく入感しない
    • FM: ロケーションに関わらず受信良好。どうやらイヤホンアンテナはかなりの威力を発揮する模様

総評

3つの驚きがあった。

  • 電車内でAMぜんぜん聞こえない
  • FMラジオではイヤホンアンテナがすごい威力
  • SRH805s がぜんぜんFMラジオ受信できない

実は電車(金属遮へい物)の中でラジオを聞くのは初めてだったので、こんなにAMが入らないというのは知らなかった。実質的にFMしか聞こえない、と言ってもいいと思う。また、FM放送に関しては、屋外だと純正ホイップアンテナでも十分に受信可能のに、電車内ではかなり厳しかった。逆にイヤホンアンテナの威力にびっくりした。FM放送の周波数 (76MHz-108MHz) は波長3-4m くらいあるので、エレメントが長いことは重要らしい。それに関連して、エレメントを極限まで短縮してる SRH805s は FM放送の受信が非常に苦手で、屋外でも使い物にならないことにも気がついた。アマチュア無線バンドや、特小などのUHF帯受信用だと思っておいた方がよさそうだ。

結論としては、災害時にラジオを聞きたいと思ったら、ラジオ専用機でもアマチュア無線機でも、イヤホンアンテナに対応した機体が必要だと言える。