先日2アマ を受験して合格しました。
受験の背景から、合格後の手続きまでをまとめました。
背景
HF出たいな
リグどうしよう
移動なら 50W まで(3アマ でも使える)
とはいえ 50W機を移動で使うにはバッテリ大変そう(車のシガーソケット でも電流が足りないので、別途鉛蓄電池 や発動発電機が必要)
逆に自宅で50Wは中途半端(QRP でもないし100Wほどは飛ばないだろうし)
ということで、
移動用には小型バッテリで稼働するポータブル機
もし追加で自宅用に買うとしたら 100W 機
という組み合わせがよいのではないかと考えた。そこでまず、今年 (2021年) 正月に、移動用・災害対策用にも使える IC-705 (バッテリ駆動10W機) を購入した。
さて、100W 機を使うには2アマ 以上の資格が必要であり、3アマ のままでは使うことができない。また、海外との交信によく使われる14MHz帯(と10MHz帯)に出るにも2アマ 以上が必要になる。
ところで、「2アマ 以上」と言うが、1アマ は必要なのだろうか? 1アマ と2アマ の違いは出せる空中線電力の違いだけ(2アマ 200Wまで、1アマ 制限なし)*1 。よって、200W以上出す必要があるのかが分岐点になる。市販の無線機は100Wまでしかないのと(それ以上は改造やリニアアンプの直列接続で増力)、戸建てとはいえ住宅街で500Wだの1kWだの出すと電波障害が心配だし申請も大変そうなので、
2アマ を取って、必要性を感じた時点で100W機を買う
ということに決め、2アマ の勉強を開始することにした。
ここまでの経過
中1: 4アマを講習会で取得
中3: 3アマ を国試(モールス受信25文字/分)で取得 *2
高校: 理系クラスで物理選択(物理II まで受けた)
大学: 情報系学部で複素関数 論・論理回路 などを受講
社会人: ソフトウェアなので無線系の内容とほぼ関係なし
社会人はともかく、学歴はアマチュア無線 技士の試験に非常に親和性が高いものになっている。複素関数 論に至っては、教えていただいた先生の専門がアンテナ。その上現在の2アマ はモールスの受信試験はない。いけるな、と思って、IC-705購入と時を同じくして受験することを決め、2021年2月に受験を申し込んだ。
私はこう勉強した
個々人で全く異なると思うので、参考までに。2021年4月の試験を受けるべく、2021年1月4日から勉強を始めた。
用意したもの(使った本)
勉強の方法
工学は机に向かって紙とペンで計算する必要があるので、早起きしたり夜中に時間を作って勉強
法規は本を読むだけでできるので、庭や公園で子守りしながら勉強
ある程度勉強が進んだら過去問をやる。本より薄いので電車移動中でも解ける
上で挙げた問題集のほうを2-3周やった。この状態で過去問を解いてみたところ、どの回でも合格範囲の点数になった。
回によっては新問がある。"R2.4" はコロナ騒ぎによって前日に急遽中止されたらしく、過去問なし。
以下に工学・法規の細かい tips を挙げておく。
工学
電気物理・電気回路(コンデンサ ・抵抗): 高校物理を思い出せばOK…なんだけど当初は途中計算ミスの連発。計算のリハビリが必要。
インピーダンス ・共振: 2アマ では複素数 出てこないけど、途中経過を複素平面 上で計算すると勘違いや計算ミスが少なくなるのでおすすめ(ここで複素関数 論が活きた)
増幅: バイポーラTr, FET を復習。コレクタ接地とか、3アマ でやったっけな…バラク ダダイオード でなんやったっけ?
論理回路 : OR/AND/NAND/XOR とか。情報系学部を出ていれば復習の必要なし
電源: 整流回路が意外に難しい(半波・全波・倍電圧)
測定: 工学で一番苦戦した。おぼえとれん!(最終的にはなんとか暗記した)
アンテナ: 趣味のアンテナ作りの知識は役立つが、放射抵抗は丸暗記が大変だった(ダイポール73, GP 21, etc.)
バイポーラトランジスタ と FET を覚える
法規
モールスはアルファベットだけなら大したことないが、Q符号 を絡めてくるのでそこは覚える(忘れている)。
周波数帯: 覚える。HFはほぼ使わないので7MHz帯以外はうろ憶え。特に10MHz帯や24MHz帯といった WARC バンドは全然憶えてない。
電波形式: もうA3Jとは言いません(J3E)。ファクシミリ を3文字目 "F" でひっかけるのがお約束(正しくは "C")。
罰則は「1年以下の懲役・100万円以下の罰金」ではない例外を覚える。
「常置場所の変更」と「設置場所の変更」では手続きが違う、といった2アマ 以上特有事項は新しく憶える(3アマ は実質移動する局しか開局できないので、移動しない局における「設置場所」の概念がほぼ不要で憶えてない)
国際法 規と日本の規則が微妙に違うので注意(例: 識別信号は国際法 規では「短い間隔」、国内法規では「おおむね10分に1回」)
「1年以下の懲役・100万円以下の罰金」がほとんどなので、それ以外のものを覚える
試験に申し込む
日本無線協会 から申し込み。4月の試験は2月に申し込み。いまどき郵便振替もネットでできた、べんりー。居ながらにして申し込み手続きすべて完了。
受験当日
「人身事故で1時間缶詰」とかを想定して、余裕時分60分をとって出発。試験開始9:30、事前説明開始9:15なので、自宅出発は7:15に設定。腹持ちのよいマックグリドル ベーコンアンドエッグを食べて、コーヒーを手にロマンスカー へ。勉強しながら新宿に出て、大江戸線 に乗り換えて更に勉強。日曜朝の電車は空いていて、ずっと座って勉強することができた。
晴海は以前仕事でトリトンスクエア に行ったことがあったので、それほど迷わず到着。会場内は…年齢層は大学生から定年後っぽい人まで様々だが…男性だけ。うーむ。大学時代(女性が1割)よりひどい。
午前は法規。9:30 開始、10:30 途中退出可能時刻、12:00 終了。自分の場合は全問解き終わって10:00、見直ししても 10:16 で、時間余りまくり。工学と違って、余った時間を使ったところで覚えてないものは出てこないので、途中退出可能時刻になって即退出。ほかの多くの受験生も即退出だった。
午後に備えて腹ごしらえ。トリトンスクエア のレストランは11:00営業開始だし、あまりにたくさん食べると午後の試験中に眠気を催す可能性があるなと思ったので、サブウェイでサンドイッチ。そのあと外のベンチで勉強するも、お尻が痛くなったので、サンマルク カフェに移動してコーヒーを飲みながら工学の復習。
午後の工学は、13:00 開始、13:30 途中退出可能、15:00 終了。全問解き終わって 13:37、見直し(計算し直し)が終わったのが 13:55 だった。ここで退出したが、ほとんどの受験者はまだ残っていた(たぶん3人目くらいで出た)。
ちなみに、法規の試験が始まってすぐに受験票の確認があるのだが、そこで「写真がよくないですよ」と指摘されてしまった。ちょっと人物が大きすぎたらしい。ほかの多くの受験者も同様に指摘されていた。いきなり「写真ダメ」と言われて動揺した人が、もしかしたらいたかもしれない。私は会社生活によっていい意味で図々しくなっているので、試験後に試験監督さんに「どこがまずいでしょうか、人物を小さくしたほうがいいということですか?」とか聞きまくり、二人で写真撮影例が載っているポスターを見た結果、結局「まぁ問題ないと思いますけど最後は総務省 さんがどう判断するかなので…」と言われた。
解答発表
試験2日後の火曜日16時ごろに、日本無線協会 のページに解答が掲載された。問題用紙を持ち帰ることができるので、即自己採点した結果は、
法規: 144点(満点150、合格基準105)
工学: 120点(満点125、合格基準87)
だった。
合格発表
4/27 に葉書が発送され、4/28 の16時に webページ で合格が発表される。我が家は晴海から比較的近いので、4/28 11時半ごろに葉書が到着して、web より先に合格を知ることができた。web ページを見ると、ものすごくおおざっぱに言って合格率50%弱くらいの模様。
無線従事者免許証の申請
自己採点で「まず合格だろう」とわかっていたので、切手 (84円+320円) と収入印紙 1750円分は事前に郵便局で購入済み。合格の葉書到着後、切手・印紙を貼って申請日と合格日を記入し、速攻で郵便局へ行き、簡易書留で関東総合通信局 へ郵送した *4 。
申請書の作成は、総務省|関東総合通信局|無線従事者の免許手続き というページを参考にしつつ、書類は 総務省 電波利用ホームページ|申請書等のダウンロード|無線従事者免許申請書の様式(ダウンロード) からダウンロード。「写真の裏には資格名と氏名を記入すること」みたいな内容や、部課レベルの宛先は、関東総合通信局 のページにしか載っていないので注意。また、申請書は直接スキャンするらしく、変に拡大・縮小するなという注意があるので守る必要がある。Mac の「プレビュー」で印刷するときは「拡大率100%」と手動で指定しないとおかしくなった。
このあとの予定
無線従事者免許証が来る (1-4週間後)
無線局の変更申請で、10MHz と 14MHz を追加する (3週間くらい?)
最速でも2-3ヶ月かかると思われるので、気長にいこうと思う。
参考になるサイト
過去問・勉強
個別の資料
2アマ に合格するためだけなら、ここに挙げたサイトの内容まで知っておく必要はないと思う。単なる知的好奇心。
解説・受験記