FT8 をやってみた

Motivation

最近 FT8 というのが流行っているらしい。なんでも、小出力でもかなり遠くと交信できるとか。CW並みかそれ以上にノイズに強いらしいので、やってみようと思う。

FT8 を理解する

新デジタルモードFT8を運用しよう を読むと多少わかる。多少…。自分の理解したところを下記に列挙する。

  • 符号化した可聴周波の信号をUSB (Upper Side Band; J3E) 形式で変調する(通常LSBを使う7MHz帯でもUSBを使う)
  • 符号化はPCで行い、PCのサウンド出力(つまりスピーカー端子)を無線機のサウンド入力(つまりマイク端子)に信号を流し込んで、無線機に変調してもらう。受信はその逆の経路。
  • なので、最低限の I/F としては無線機とPCのスピーカー入出力・マイク入出力をつなげばよい
  • とはいえそれはケーブルが2本になったりゲイン調整しなければいけなかったりと面倒なので、最近の無線機であれば USB (Universal Serial Bus) ケーブル1本を繋げば使えるようになっている(無線機側にサウンドカード相当の機能が乗っているようだ)

設定

無線機 (IC-705)

事前準備として、IC-705のファームウェアを更新して FT8 プロファイルを選べるようにする。プロファイルを設定しなくても交信はできるはずだが、AFフィルタの幅が最適化されていたり、自動的に USB-D モードに切り替わったりと便利なので、更新しておいたほうがよい。

  1. USBケーブルを接続する
  2. 電源を入れる
  3. アンテナをチューニングする(私の場合は ATU-100 の電源を入れてRTTY モードにし、PTT を押してチューニング)
  4. プロファイルを FT8 に切り替える

以降の操作は、周波数の変更も含めて PC (mac) 側で行う。

PC (MacBook Pro 13インチ 2020)

事前準備として、WSJT-X と、IC-705 に接続するための SiliconLab USB ドライバ を導入しておく。

以下の設定作業は、実際に無線機が接続された状態でないと通信エラーになってしまうので、上記の無線機側の設定を行ってから実施する。

  1. 7MHz 国内 FT8 をやりたい場合は、7041kHz を周波数として追加する(こちらのページ を参照)
  2. 無線機設定を行う。IC-705 の設定例は下図の通り。「シリアルポート」欄はUSBドライバのインストールごとに違うので、通信エラーがでないものを選択する。
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    WSJT-X の無線機設定
  3. オーディオ設定で、入出力を USB codec にする
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    オーディオ設定

交信の方法

左側中央の "40m" となっている部分が周波数帯の選択になっているので、7MHz 帯なら "40m" を選択したあと、CQ出してる行をダブルクリックすると右側で自分の交信が自動的に進む。自分がCQを出したいときは、右下の "Tx6" のところにあるラジオボタンを選択して「送信許可」を押すと CQ が出されるので、誰かが応答してくれたらあとは交信が自動的に進む。

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左側に他人の交信が見えるので、CQ出してる行をダブルクリックすると右側で自分の交信が進む

PSK Reporter を自分のコールサインで検索すると、自分の電波がどこまで飛んでいるかがわかる。

交信してみた

  • 7MHz 5W: 西は広島・愛媛、北は北海道まで飛んでた。
  • 7MHz 10W: 西は福岡、北は網走まで飛んでいた。飛びっぷりは5Wとあまり変わらないようだ。
  • 430MHz 10W: 所沢まで飛んでいた。FM ではここまで届かないので、さすが FT8 といったところ。

所感

  • どうにも「交信」という感じはしない、むしろ物理実験をしている気分
  • 「QSL 交換どうする?」とか会話できないので、自分は eQSL, LoTW だけやってる
  • アンテナやリグの性能チェックにはうってつけ。アンテナの位置・偏波、リグの出力をいろいろ変えて、飛び具合をチェックするのにちょうどいい。特に自分はアンテナがほぼ自作なので、その性能チェックには大変に向いている。
  • 一言も会話しなくてよくて、かつ交信がほぼ全自動なので、交信途中に子供に邪魔されても大丈夫。子育て世代向きだと思う。