TH-D74 用 2.5mm → 3.5mm 変換ケーブルの作成と Ft8 受信

概要

TH-D74(ケンウッドのハンディ機)のスピーカー端子は「2.5mm ステレオ端子からモノラル出力(+リモコン制御)」という特殊仕様になっているため、そのままでは PC の音声入力に信号を送り込むことができない。そこで 3.5mm ステレオケーブルの一方のプラグを切り落とし、2.5mm ステレオ端子からのモノラル出力を 3.5mm のステレオ端子に分配できるケーブルを自作した。これを使ってアマチュア無線の最新のデータ通信形式 FT8 の信号をデコードしたところ、朝9時の 7MHz 帯で、カタールアゼルバイジャンの局を発見した。

目的

ハンディ機のスピーカーからの音声を PC に流し込むことにより、以下の2つを実現する。

  1. 最近流行っているらしい FT8 を受信(デコード)してみる
  2. PC から Bluetoothバイスに飛ばす

1はともかく2については「TH-D74は最初から HFP に対応しているのに、なぜそんなことをする必要があるのか?」と思われる向きもあるかもしれない。しかし TH-D74 の Bluetooth はなぜか到達距離がものすごく短い。説明書記載の公式なもので「数m」とされていて、実際に同じ部屋でも 3-4m 離れるとリンクが切れることがある。144/430 MHz 帯と 2.4GHz 帯の干渉対策で、意図してこの通信距離になっているような気がするが、それにしたって短すぎて不便を感じる。そこで、こういうケーブルを作っておけば、おそらく Class 1 であろう PC 本体と無線機を屋根裏部屋に置き、1F/2F の Bluetoothバイスまで飛ばすことも可能ではないかという目論見をしているのである。そのうち MacBook Pro にループバックデバイス機能を持つソフトウェアを導入して実験してみようと思う。

製作

特に難しいところはない。

  1. 千石電商で、両端 3.5mm ステレオミニプラグのケーブル と、2.5mm ステレオミニミニプラグ を買う
  2. JN3QCI さんのページ を参考にして結線を決定: 3.5mm 側の1番・2番を、2.5mm 側の1番に両方とも接続し、3番と3番 (GND) を接続する
  3. 3.5mm ステレオミニプラグの片方を切断する
  4. 結線通りに半田付け

結線図は下記の通り。今回は PTT スイッチは付けていない。 (PTTロック欲しいなぁーと思っているので、そのうち作るかもしれない)

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結線図

半田付け結果はこちら。本当はちゃんとケーブルを噛み込んだほうがいいんだけど、剥き直すのが面倒だったのでこのままで。

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半田付け

FT8 をやってみた

TH-D74 を AM モードに設定して周波数は 7.074MHz にし、製作したケーブルの 2.5mm 側を TH-D74 に接続する。もう一方の3.5mm プラグは、引き出しの中で眠っていた USB オーディオインターフェースのマイク入力端子に接続し、これを USB-C ハブ経由で MacBook Pro に接続する。最後に WSJT-X の macOS 版 を起動して、入力として USB オーディオを指定してみたところ、なんとカタールアゼルバイジャンの局が出した信号をデコードすることに成功した! こりゃすごい、FT8 が流行る理由がわかる気がした。